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つなぐ・・・

山の上洋菓子店のテーマです。

そのことを意識しながら、商品開発、また店舗創りをしています。

めまぐるしい発展を遂げる現代社会、本当に今時代の過渡期である事を

強く感じるのは私だけではないと思います。

人は常に新しいものを求め、また求めるからこそ発展していくと思います。

しかし、より良くなっていくはずの社会でなぜそのことを実感している人に

あまり出会わないのでしょうか?


ストレス社会と呼ばれて久しいですが

ストレス原因の第一位は「未来への不安」とのことです。

よりよく発展していく社会で、なぜ未来に不安を

覚えるのでしょう?

国のせい?政治家のせい?社会のせい?親のせい?

なぜなんでしょうか?

私には未来だけを見つめることの無意味さを感じてしまいます。

どうにもならないことが世の中にはあります。

災害も、家庭環境も、職場も未来しか見つめなければ

不安が先立ちます。

しかし未来は現代の上にしか成り立ちません。

現代は過去の上にしか成り立ちません。

まるで落ち葉がつもりより良い肥料となり新しい木々が芽吹くように

私たちも生きているのではないのでしょうか。

未来はすばらしいに違いないと、楽観的に捉えられるのは

過去を見つめ、今あることへの感謝なくしては

未来のすばらしさに目を向けることは出来ないように感じます。

私たちのお店も築80年以上の古民家を改装いたしました。

新しく建て直したほうが安上がりで、はるかに利便性に優れたものになるとも言われました。

しかし、古いものには不便だけれども何者にも変えられぬ味があります。

物語があります。

新しい物語を一から生み出すのは、とても魅力的です。

ただ現代においてはもう物語りは出し尽くされてしまっているように感じるのです。

まったく新しい物語を描くより、今あるものを、今まで築いてきたものを利用して

物語をつないでいくことのほうが自然であるように思います。

お菓子もまさにそうです。

歴史のあるフランス菓子を日本のたくさんのシェフの方々が

つないできてくださいました。

私もまたその一員として少し自分の味を加え後世に伝えていきたい、

と思っています。


当店の2階の古い窓の正面から見て左側だけ新しい窓になっています。

実は台風で飛ばされてしまったのです。

私は大工さんに

「新しい窓だと外観が浮いてしまうから、色を塗って古く見せてほしい」

とお願いしたことがありました。

大工さんは

「新しいものもいつか古くなる。色を塗ると他の窓がさらに古くなったとき

色のギャップが生まれるよ。」と教えてくれました。

「それに他の窓もいつかは新しくするだろうし、昔の技術はつないで作っているから」

とも。

そこに大工の誇りを感じましたし、自分の考えとも共鳴したので

当店の窓は新旧織り交ざっています(笑)

一度注目してみてみてください。

そのうち馴染むはずです。

また台風などで飛ばされない限り・・・




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